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美術館コンサートレポート・本田一輝さんインタビュー


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916日(月・敬老の日)は、バイオリニストの太田楽さん、ピアノ伴奏者の古俣彩寧さんをお招きして、美術館コンサートが行われました!

「東欧美術に囲まれながらゆったり音楽鑑賞をテーマに開かれたコンサート。秋晴れの晴天の中、たくさんの方々がご来場くださり、小さな美術館に40人と、満員御礼となりました。本日は当日の様子をレポートいたします。

 

緩やかな時間が流れる中、来場された方々は音楽鑑賞、美術鑑賞、美味しい珈琲、自然いっぱいの中庭、お客様同士や演奏者さんとの交流など、楽しまれたご様子でした。

演奏は前半後半に分かれ、太田さんの軽快なトークでリラックス。愛の挨拶、戦場のメリークリスマス、タイスの瞑想曲など、誰もが一度はメロディを聴いたことのある親しみのある名曲から、ドヴォルザークなどの東欧ゆかりの作曲家たちの名曲まで、会場一体となって楽しめるプログラムとなりました。

ご来場の皆様方のご感想をご紹介します。

 

・すごく感動した!この広さで音楽が聴けるなんて!また来たいです。

・演奏者のお二人が若くてフレッシュ。息の合ったコンビだと思いました。

・音響が良い。奏者さんと客席の距離が近くて良い。

・バイオリニストの息遣いや、表情に目を奪われた。

・特に、ハンガリー舞曲など、曲によって緩急をつけていて、その違い(表現)も楽しめた。

・呼吸を大事にしていると感じた。呼吸と演奏が一体となっていた。

・自然な笑顔に、演奏者の人柄を感じた。

・小さな会場なので、演奏家の息づかいや表情がよくわかり、一体感を味わえました。

・肩の凝らないお話もリラックスできました。

・若い演奏家のお二人の一生懸命な姿を見て感動し美しいなと思いました。

・太田さんのかわいい笑顔が良かったです。太田さん古俣さん、これからも頑張って下さいね。応援しています。

・今日は美術館コンサートを聴かせていただき、とても楽しい時間でした。お二人の優しい演奏が素晴らしかったです。

・コーヒーが個性的で美味しかった。

・若い奏者やスタッフが活躍している会で爽やかでした!

 

太田楽さんからも、「“演奏者も楽しんでいなければ、お客様も楽しめるはずがない!”僕のポリシーなので、皆さんに楽しんで頂けたようで嬉しいです。集まる人がとても良い、あたたかい美術館ですね。」というご感想を頂きました。

太田楽さん、古俣彩寧さん、息の合った素敵な演奏をありがとうございました!

 

さて、現在開催中の展示は『ヴィンテージポスター展 東欧の土と風』『森ヒロコの全貌展~デビューから晩年まで~』のふたつ。

今回の企画展の企画に携わってくださった本田一輝さん(起業家、イベントプランナー、アートディレクター)からもお話を伺いました。本田さんは、森ヒロコの大ファンで、当美術館スタッフと意気投合され、蔭に日向に美術館を応援くださっています。

 

【スタッフ会場アナウンスより抜粋】

今回のポスター展は、森ヒロコと交流のあった東欧の作家たちの作品、36点を展示しています。

特に、後ろの特徴的な作品。スタシス・エイドリゲヴィチウスは、ポーランドとリトアニアを代表するアーティストですが、彼が若い時、日本でその才能を広めようとしたのが、森ヒロコの夫で、森ヒロコ・スタシス美術館館長であった長谷川洋行(なだゆき)でした。 一見、不気味な作風ですが、慣れるとなんとも愛らしく、彼らの持つ素朴で優しいあたたかみを感じます。

 スタシスや、(会場横の)絵本作家のヴィルコンなど、森ヒロコと過ごした記録を見ると、彼らはとてもおちゃめで、なんでも素材にしてしまう、まるで少年のようなユーモラスさに溢れています。

  一方で、ポーランド、リトアニア、などといった彼らの故郷の国々は、石油などの資源が豊富で、ドイツやロシアに囲まれ、何度も侵略を受けてきました。その国としての歴史は彼らの魂にも刻まれていて、どこか寂しげで真実を問うような視線は、私たちに本当に大切なものは何かを考えさせられます。 洗練されたポスターデザインを楽しみながら、東欧の色、土の匂い、風を感じていただけたら幸いです。

 

【本田さんのご挨拶より抜粋】

今回の企画展は、主にスタシス、ヴィルコン、カーライ、その他の作家、という構成です。当美術館館長の長谷川洋行(なだゆき)さんは、森ヒロコのご主人です。元々画廊を経営しておられ、1970年代から、東欧の作家に目をつけて、新人発掘をしていました。東欧から作品を買い付けて、こちら(札幌、渋谷など)で販売もしていました。ポスターの一つ(*写真6枚目 会場、ピアノの上の作品『グリムプレス国際絵本原画展』1997年、森ヒロコ・スタシス美術館開催)を見ればわかるのですが、当時からこちらの美術館では東欧の作家の紹介に力を入れておりましたので、こちらにあるものは全て貴重なものなんです。全部手に入らないし、こういった作品が一堂にご覧いただけるのは、北海道でもここしかないんじゃないかなと思います。意外とこの美術館の価値は知られていないんです。森ヒロコさんの作品を含め、ここの価値を知ってほしい、ということで、東欧をテーマにした作品展を企画しました。

 

この美術館の良さを広めるために、熱い思いでご協力くださっている本田さん。せっかくの機会に、もう少しお聞きしました。

 

〈なぜ、絵画展ではなくポスター展?〉

原画もたくさんあるのですが、ひとつひとつの作品とじっくり向き合う絵画と違って、ポスターは見やすく、デザインとしても映えるので、壁一面に並べても面白いですね。価値のあるものを皆さんに数多く見てもらい、充実感のある企画展にしたかったです。一人でも多くの方に足を運んでもらいたいと思っています。東欧ポスター36点、森ヒロコ作品94点で総展示数合計156点と作品展数が多く、見ごたえのある充実した内容も今回の魅力です。

 

〈本田さんの思う森ヒロコの良さとは?〉

森ヒロコさんの良さは、まず何と言っても世界観です。抽象と写実の合間というか。そこに空想の世界も入っている。アートセンス、主題(テーマ)も絶妙ですね。この合間が丁度良いからこそ、見る側にゆだねられる部分、アート性、世界観が喧嘩をしません。ヒロコさんは人が見て、一見、目を背けたくなる残酷なものを敢えて描きますが、だからこそ美しい部分が見えてくる。表裏一体。闇があるから光がある。相対的な見方ができ、深く読み解くことができます。

一層目は「綺麗だな」「毒々しいな」という感想。

二層目は「なぜ、この絵を描いたんだろう?」という疑問。

三層目に、絵の本質が見えてくる。ここに答えがあるヒロコさんの絵は、本物のアートだと私は思っています。

 

〈今回の『森ヒロコの全貌展~デビューから晩年まで~』の楽しみ方〉

今回は年代別に代表作を並べているので、デビュー作から2000年代までの変わりようを楽しめます。ここまで変化のある作家は珍しいです。夫の長谷川さんの影響もありますし、技法、作風に注目して見ていただきたいです。激しい作品は初期ですが、銅版画は制作がすごく大変なので、歳をとってくると細かい作業ができなくなってきます。そうすると、(やわらかい作品は)晩年の作品になりますね。

 

本田一輝さん、想いのこもったお話をありがとうございました。命がけで東欧の作家たちの作品を広めようとした、長谷川さんに通ずる情熱を感じました

 

企画展についても、コンサートへこられた皆様からのご感想を伺うことができました。

 

・色使いから東欧の土のあたたかさを感じます。

・スタシスの絵が可愛い。色んな画材を使っている。

・森ヒロコさんの絵は、以前初めて見た時、ちょっと気持ち悪くて苦手だな、と思いました。でも、今回改めて見て、なんてきれいな絵なんだろう、と感じました。彼女は自分の中にあるもの(きれいな感情から苦しい感情まで)を描いて、絵と対話していると感じました。だから、自分が苦しい時に見て、苦しかったのかなと思います。今日は自分がリラックスしていて、美術館のあたたかい空気、ゆるされた空気の中で見たから、きれいだと感じたのだと思います。並びが年代別になり、美しい代表作が抜粋されていたのも、流れとしてとても見やすかったです。

 

ご来場くださった皆様、ありがとうございました。

私達スタッフとしても、皆様が楽しまれたご様子が会場全体に溢れていて、胸がいっぱいになりました。

 

 

今後も様々な企画をご用意しています。美術館公式インスタグラムやフェイスブック、当ホームページで続々発信予定です。どうぞお楽しみに!